遺品整理と遺産相続ガイド

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田舎の不動産の売買。「買取」と「仲介」どっちがお得?

都会では、使われていない土地や建物がいつまでも空き地や更地になっていることはなく、気づけば新しい建物や駐車場が出来て目まぐるしく街の様子が変わっていきます。すぐに買い手がついて「商品」として流通しているということです。

しかし、田舎の場合はまるで事情は違います。

たとえ広大な土地を持っていても、今は相場価格で売るのは難しいでしょう。安くても値段がついて売れたらラッキー、それが相場価格だったら奇跡、ぐらいの感覚です。

とはいえ、相続した不動産をそのままにして、住むわけでもないのに黙って固定資産税を払い続けるのもそれはそれで苦しいでしょう。実際に処分するにはどうすれば良いのか、現状を把握してしっかり検討しておきたいところです。

不動産業者の手を借りる場合の選択肢

家を売る場合、個人間での売買は手続きの不備など不測のトラブルも想定され、土地の境界や登記の問題もあります。ただでさえ買い手が見つかりにくい状況ですし、基本的に民間の不動産業者の手を借りるのが無難です。

不動産業者の手を借りて田舎の家を売るには2種類の方法があります。ひとつは「不動産業者に直接買い取ってもらう方法」、もうひとつは「買い手を探してもらう仲介という方法」です。

不動産業者に買い取ってもらう場合

不動産業者に家を買い取ってもらう場合、知っておきたいのは「相場の現状」と「売値と買値の差」です。

田舎の家を売る場合、想定されるお客さんは、「都会から田舎へ移住する予定の人」が代表的です。彼らに人気のある物件のおおよその相場は、

賃貸:月額1~3万円。
土地:100坪で500万円。
そのまま住める家:平均1000万円。

となっています。ですが、これはあくまで不動産業者がお客さんに売る場合の「売値」です。

不動産業者があなたから物件を買い取る場合はもっと安くなります。たとえば売値が1000万円でも、買取価格はその3分の1の300万円ぐらいだと思って下さい。

不動産業者にしてみれば、流動性の低い商品を抱え込むことになるので、どうしても価格は安くなります。それに加えて水回りの修繕費や管理費など維持費が必要になり、雑誌やインターネットに掲載する広告費などがかかります。

そう考えると、買取価格300万円でもギリギリといったところでしょう。買値と売値の差額がこれだけ大きいことは覚悟して下さい。

不動産業者に仲介してもらう場合

仲介の場合はどうなのでしょうか?

借り主、あるいは買い主を探してもらう形になるので、買取よりはいくらか利益率が良いと思うかもしれません。

しかし、仲介であっても、不動産業者は価格設定を少しでも安くするのが普通です。

なぜなら、早く手離れさせたいからです。彼らもビジネスですから仕方がありません。不動産業者の取り分は「売り主と買い主の双方から手数料3%+6万円+消費税」というのが一般的です。

相場が1000万円なら、700~800万円程度の価格設定を提案されることになるでしょう。その時点で売れればありがたいのですが、売れなければ当然価格を下げていくことになり、最終的には500~600万円代も覚悟しなければなりません。

「仲介」ですから、その間の物件の維持費はもちろん所有者であるあなたが負担します。売れるまでの期間が長いほど、利益は少なくなってしまいます。

地域による相場の違い

単純な地価も影響が大きいですが、人気のあるなしも相場に影響します。

全般的に、冬場の寒さが激しい北海道・東北・日本海側の地域は相場が安く、都会から比較的近い地域、とくに海の近く、神奈川県南部などは人気があるので相場も高いです。

また、富士山周辺や有名な避暑地や観光地、高原地帯などイメージのいい場所であれば相場も高くなります。

とはいえ、駅が遠い、車が通りにくい、買い物に行きづらいなど不便な点があれば当然安くなりますから、人気のあるエリアでも過度な期待はしない方が良いかもしれません。

こちらで、地価を調べることが出来ます。
参考:国土交通省「土地総合情報システム」

買取か仲介か

買取と仲介、どちらを選ぶかですが、すぐに売れそうなら仲介。長期戦になりそうなら買取を選ぶほうが金銭的にも精神的に良いでしょう。

土地・建物の状態と、地域の人気から考えて、自宅はどれほどの市場価値があるか判断する必要があります。