家を買うなら現金払いが大原則
田舎の不動産物件は、原則としてローンが組めないということをご存知でしょうか?
これは売る側・買う側、両者ともに覚えておきたいことです。
不動産ローンを組む条件には次の2つがあります。
- ①不動産の担保価値がある
- ②返済者の支払い能力が確実であること
①不動産の担保価値がある
ローンを組むには、その物件が不動産の担保価値がある、と認められなければいけません。
都会の物件だろうが、田舎の物件だろうが、担保価値はあるんじゃないの?と思うかもしれませんが、金融機関は田舎の物件を担保として認めてくれず、お金を借りることはほぼ不可能に近いのです。
そもそもの金融機関は、遠隔地に担保物件を持つことを嫌います。
通常、ローンを返済できなかった場合、担保物件で補填することになりますが、田舎の物件の場合は手に入れても利用価値が少ないため、担保として認めてくれないのです。
ちょっと考えれば当然と言えば当然の話ですが、これが相続した家を売るときの「価格設定」のときに重要になってきます。
②返済者の支払い能力が確実であること
当然ですが、返済者の支払い能力も大切です。
購入者が、週末に田舎暮らしをする予定のサラリーマンや公務員であれば、返済能力があると考えられるでしょう。
しかし、「仕事を辞めて、これから田舎に引っ越して農業を始めたい」というような人にはローンは認められません。収入が少なくなることが目に見えている退職後であれば、なおさらです。
サラリーマンを辞めて自営業を初めると、数年間実績を積まなければクレジットカードを作ることも困難ですがそれと同じ。信用を得るのは簡単ではありません。
売る側は、買う側の実態を踏まえて価格設定を
①その物件に不動産の担保価値がある、②購入者に返済能力がある、この両方が認められて初めて、金融機関はお金を貸してくれます。
①は売る側の問題。②は買う側の問題ですが、田舎の物件の売買では、この両立が意外と難しいのです。
売る側からして見れば、現金を持っていない人には売りたくても売れないということになり、家を買ってくれる人はかなり限定されてしまいます。
最近では、「田舎暮らしローン」のような商品も出回っていますが、利用する例はまだ少ないのが現状です。
余程の資産家でなければ、田舎に家を買う場合は退職金などを利用したり、貯金や株からお金を工面したり、都会の自宅を処分するなど、なんとか現金を用意して買うケースが圧倒的に多いです。
親から相続した不動産を売る場合、こうした実態を踏まえて価格設定しなければいけません。