遺品整理と遺産相続ガイド

親の家の片付け方、不要品処分から遺産相続の手続きまで

生前に話しておきたいお墓の問題。移転(改葬)するか、生前墓(寿陵)を準備するか。

2016/11/14

ohaka田舎の実家のお墓をどうするかということも、悩ましい問題でしょう。

既にお墓がある場合でも、これからお墓を準備しようという場合でも、親が生きているうちにきちんと話し合っておきたいもの。普段あまり触れる機会のないお墓は、つい意識が逸れがちですが、実は問題が山積みです。

実家の近くに代々引き継がれてきたお墓があり、子どもたちは都会で生活している場合、掃除はおろか、墓参りに行くのでさえ難しく、大きな負担がかかることになります。

親しい親戚が近くにいれば、上手くコミュニケーションを取ってお墓の世話をお願いするという手もなくはありません。

ですが、頼れる人が誰もいない場合、墓参りの代行業者を探すという手があります。それも難しい場合は、永代供養を検討するのも良いでしょう。

永代供養とは?

永代供養とは、お墓参りできない人に代わって、お寺が責任持って永代にわたって供養すること。

しばらく他の人の遺骨と一緒に納骨堂などに安置し、その後、合祀墓に移して供養します。

参考:永代供養墓ポータル | NPO法人永代供養推進協会

墓の引っ越し(改葬)

永代供養も徐々に市民権を得ているとはいえ、多くの親は「自分の家のお墓に入りたい」と個別の埋葬を希望するでしょう。

その場合、折衷案として、子どもたちが墓参りしやすいように、実家から子ども家の近辺に墓を移転(改葬)することを検討してみてはどうでしょうか。

ただし、墓の改葬には、大変な手間がかかります。

改葬元と改葬先の墓の管理者、改装元の役所へ何度か足を運び、書類の発行や手続きをしなければなりません。実家から離れて暮らしている場合は特に大変です。

こうした煩雑な手続きを、親が亡くなってから始めるのは、時間的にも精神的にも辛いものがあります。もし改葬を考えているのなら、今から改葬先をどこにするか探しておき、準備を進めておくことをおすすめします。

改葬の手順

改葬の手続きは、改葬元と改葬先の2ヶ所での手続きが必要になり、書類の移動もあります。

改葬元 改葬先
①墓地の管理者に改葬することを伝える ①墓地を確保し「墓地使用許可書」を受け取る
②墓地がある役所で「改葬申請書」を受け取る ②墓地の管理者に「受入証明書」を発行してもらう
③必要事項に記入し、管理者に「改葬申請書」に署名捺印してもらう
④墓地がある役所へ「改葬許可申請書」「受入証明書」を提出し「改葬許可書」を発行してもらう 「※1.受入証明書」を改葬元の墓地がある役所へ提出する
⑤墓地の管理者に「改葬許可書」を持参し「魂抜き」を依頼する ③墓石を決め、お墓を造る
⑥「魂抜き」を行った後、遺骨を回収する ④管理者に「納骨式」の申し込み
⑦墓石の撤去・処理をし、墓地を更地にして返却 ⑤管理者に「※2.改葬許可書」「墓地使用許可書」を提出し、開眼納骨式を行う

※1. 改葬手続きには「受入証明書」が必須です。改葬先で発行し、改葬元の墓地へ提出します。

※2. 「改葬許可書」は改葬元で発行し、最終的に改葬先へ提出します。

お墓がない場合は生前墓(寿陵)の検討を

現時点でお墓の用意が出来ていない場合は、墓の場所など、親と子どもたちの間でよく話し合っておく必要があります。

その上で、今から墓を用意しておくのもひとつの方法です。最近は「子供に負担をかけたくない」または、自分の気に入った墓碑銘や石、場所などを選びたいという人が増えてきています。

意外に思うかもしれませんが、親が生きているうちに墓を用意する生前墓(寿陵)は縁起が良いとされています。生前墓は、朱色(赤)の文字で名前や戒名が刻まれているお墓です。見たことがある方もいるのではないでしょうか。

寿陵墓の縁起と意味

古来中国では、生前にお墓を建てることは長寿を招く縁起の良いことであると言われていました。

寿陵の「寿」は、長寿という言葉に使われているように、いのちを長らえるという意味があります。また、「稜」は「みささぎ」と読み、皇帝の墓という意味です。日本では天皇陛下の墓を「御陵(ごりょう)」と言います。

お墓には節税のメリットもある

お墓や仏壇は、相続税の対象にならないというメリットがあります。不動産取得税・固定資産税が発生しません。金銭的な理由で躊躇している方はこのことを踏まえて検討してみてはいかがでしょうか。

財産を多く抱えている資産家の中には、相続税対策として生前に墓を購入し財産を減らしておく人もいます。

墓がいらない場合は散骨葬

中には、「墓なんていらない。骨は太平洋に撒いてくれ」という親もいますが、この場合「散骨葬」という方法を採ります。

お墓や仏壇を用意する必要がないので、自ずと法事のための費用もかかりません。子どもは遠隔地への墓参りをしなくても済むことになります。

散骨場所は、海や山をはじめ、外国など、様々想定されますが、ある程度の希望を聞き入れてくれる散骨葬専門の業者もあるので相談してみてはいかがでしょうか。

シンプル・格安葬儀。資料請求はコチラ