親が自営業、または会社を経営している。でも、子どもたちは既に別の仕事に就いており、事業を継ぐ気がない場合。
子どもの立場から見るとあまり関係がないように思えますが、親が亡くなった後、事業をどうするかは相続の上で重要な問題であり、親が生きているうちからしっかり話し合っておく必要があります。
なぜなら、親が所持していた株式などは相続の対象となるからです。
後継者と相続をどうするか
親が事業を営んでいた場合、残される子どもが気にするべきことは、後継者と相続の2点です。
これをどうするか明確にしていないうちに親が亡くなってしまった場合、子どもたちや親族の間で相続を巡ってトラブルになる可能性があります。
問題は相続だけではありません。親が経営する会社に従業員がいる場合には、彼らの生活にも関わります。会社を存続させるのか、畳むのか、後継者はどうするのか、早いうちから親の意向を確かめておかなくてはならないのです。
後継者探しをスムーズに進めるには
親が、自分の会社を「自分の代で終わらせたくない、誰かに継がせたい」という意向があるなら、後継者を探すことになります。
子どもたちが継がない場合の選択肢は大きく分けて3つです。
- 直系親族に拘らず親族から探す
- 長年勤めてくれた従業員に譲る
- 外部から後継者を招き入れる
外部からの場合、いきなり引き継ぐのではなく、数年間の社内勤務を経てから、というパターンが一番スムーズです。
また、事業を株式会社にしている場合は、後継者への株式譲渡なども事前に済ませておいてもらいましょう。いずれにしても、後継者が会社の事業、方針を理解するには時間がかかりますので早めに準備しておく必要があります。
廃業する可能性がある場合
親がひとりで会社を経営しており従業員もいないという場合、事業後継者が見つからなければ選択肢は廃業しかありません。
この場合にも、もしもの事態に備えて、いつ廃業しても良いように準備を進めておくのが理想的です。
というのも、親が亡くなってから慌てて廃業の手続きを進めると、多額の借入金や買掛金など、思わぬ負債が後で見つかることがあるからです。そこで困るのは、他でもない、遺産を相続するあなた自身です。
事業の実態を把握しておく
ゆくゆく廃業する見通しであれば、マイナスの資産となるものはどれくらいあるのか把握しておきましょう。
- 事業の借入金の残債
- 毎月の仕入れなどで発生する買掛金
- 現金や手形など、入出金方法
また、負債だけでなく、プラスの財産となる売掛金についても確認が必要です。決算書を見せてもらうなどして、親の家業の実態をしっかり把握しておきましょう。