遺品整理と遺産相続ガイド

親の家の片付け方、不要品処分から遺産相続の手続きまで

遺品整理業者に依頼するメリットとデメリット。業者選びの注意点

親の家の片付けの方法には、生前整理と遺品整理があります。存命中にやるのが生前整理、亡くなった後にやるのが遺品整理です。

生前整理を一切せずに親が亡くなってしまうと、貴重品や相続に関する重要な書類など、どこに何があるのか全くわからない状態から始めることになるので想像以上に手間がかかります。

さらに、子ども(あなた)が実家を離れて暮らしていて、親の家が遠方にあったりするとそれがどれだけ大変か想像に難くないでしょう。

そうした場合、遺品整理業者に作業を依頼することになりますが、注意しなければいけないことがいくつかあります。メリットとデメリットを把握し、よく検討して下さい。

遺品整理業者に依頼するメリット

短時間で済む

親の家が賃貸物件であった場合は、継続して家賃が発生してしまうので、一気に片付けなければいけません。

また、遺品の量が多かったりすると手間がかかりますし、重量物が加わってくると危険を伴うため作業自体を行う事が難しくなります。

遺品整理の専門業者は、仕分け・整理に慣れています。不慣れな一般人よりも短時間で終了する事が出来ます。

依頼者が遠くに住んでいても遺品整理が進む

子どもが実家から遠い場所に住んでいる場合、親の家に何度も足を運ぶのは現実的に厳しいでしょう。

遺品整理業者に仕分け、片付けを依頼しておいて、作業途中は電話等で確認を行いながら作業を進める、なんて事も出来ます。

依頼者が高齢でも大丈夫

依頼者は子どもと言えど、50代60代にもなれば体力的にも衰えますし、健康状態などの理由で長時間に渡る整理の作業が困難な場合もあるでしょう。

遺品整理業者に依頼すれば、作業当日は立ち合いだけして、仕分け品の確認をしながら整理をすることも出来ます。

急がない整理でも依頼可能

故人との思いでが多く気持ちの整理がつかないことも当然あるでしょう。

気持ちの整理がついた時に連絡し、相談しながら作業を進めるという選択肢もあります。

遺品整理を業者に依頼する場合のデメリット

費用が発生する

遺品整理業者に頼むとそれなりの費用が発生します。整理仕分けの量にもよりますが、数万円~数十万円が相場です。

業者選びに失敗する可能性がある

思い出の品を雑に扱ったり、現金を懐に入れてしまう悪質な業者も中には存在します。

遺品整理依頼前の見積りの時点で業者の態度や見積もりの仕方で判断できる場合もあります。

遺品整理業者に依頼する前にチェックするべきこと

料金が安す過ぎる業者は、怪しいことが多いです。おおよその相場は1Kで4.5万円~、2DKで12万円~ほどですが、ここから逸脱するようだと何かしら問題を抱えているかもしれません。

廃棄物を不法投棄する可能性

廃棄物を処理するには、費用がかかります。それを廃棄物不法投棄することによって料金を抑えている可能性があります。

不法投棄された物の中に、身元がわかってしまうような物が紛れていれば、排出者責任を問われる場合もあるので注意が必要です。

遺品回収しかしない可能性

遺品整理業者」の仕事には、思い出の品々や趣味で集めた骨董品、相続に関する重要書類、依頼主の要望で選別する物など、必要な物と不必要な物を仕分ける作業が含まれています。

しかし、「遺品回収業者」の場合、遺品整理は行わずに、不要品を回収するだけなので料金は格安というカラクリ。家族が事前に整理をした後なら利用する価値もあるかもしれませんが、遺品整理の段階から依頼すると必要なものまで処分されてしまう恐れがあります。

総額を明示しない業者はボッタクリ?

遺品整理で苦情が多いのが、実はこのケースです。

見積もりで格安の料金を提示しておきながら、作業終了後に様々な追加料金を請求されて当初の何倍もの金額なってしまうという被害が続出しています。

見積もりの際に、細かく作業内容と料金を絶対に確認しましょう。依頼主が女性で、不安なようでしたら親戚や知人に相談、協力してもらうようにして下さい。

不要品処分を遺品整理業者に依頼するときの確認事項

不要品の処分を業者に依頼するときの注意点をまとめました。事前の打ち合わせ、見積もりのときにしっかり確認しましょう。

  • 全てのゴミを引き取ってくれるのかどうか
  • ゴミの分別をするのは家族なのか、業者なのか
  • タンスなど大きな家具は処分できるのか
  • 古物の買取が出来るのかどうか
  • ゴミや不要品はどこで処分しているのか
  • 人件費、運搬費の明細ははっきりしているか
  • 追加料金の規定はあるか
  • 貴重品を破損した場合の損害保険に入っているか

これらの項目を確認し、答えに窮するような業者にはできるだけ頼まないようにするべきです。トラブルを避けるためにも、複数の業者から見積もりを取るのが良いでしょう。

出来ることなら生前整理を

遺品整理業者もプロとはいえ、完璧ではありません。やはり出来ることなら家族が一緒になって生前整理を進めておくのが理想的です。

生前整理のメリット

  • 親の意思、気持ちを尊重して片付けが出来る
  • 遺品整理よりも心理的な負担が少ない
  • 必要な物、不要な物がはっきりする
  • 相続の話をするきっかけを作ることが出来る
  • 証券、通帳など、相続時に必要な書類等をまとめておける

「まだ大丈夫」と高をくくらずに、早めに始めておくと安心です。親も自分もお互い元気なうちに、コミュニケーションのつもりで始めてみてはいかがでしょうか。