親の家が借家だった場合は、持ち家とは違う点に注意して片付けをしなければいけません。
まずは家賃が発生し続けるということ。そして、契約が終了する退去日までに片付けを済ませなければいけないことが大きなポイントになります。
借家の片付けは時間との闘いになる
賃貸物件の契約は相続人に引き継がれる
賃貸借契約では、借り主(親)が死亡しても契約は終了しません。建物を借りる権利(賃借権)は相続人に引き継がれます。
つまり、片付けが長引けば長引くほど、相続人(あなた)は家賃を払い続けなければいけないということです。
とはいえ、通常は大家さんから「いつまでに片付けて退去して下さい」と申し出があるでしょう。「家賃は払ってもいいからのんびりやろう」なんてことにはなりにくいのが実情です。
友人・親戚を集めて一気に片付ける
親の家が賃貸だった場合、たとえそこがあなたが生まれ育った実家であったとしても、片付けは一気に済ませて退去しなければいけません。
親戚や友人に協力してもらい、一気に済ませてしまうのがベストです。
家賃・敷金の処理。相続人の義務
万が一、親が家賃を滞納していたような場合は、マイナスの相続財産となり、相続人に支払い義務が生じます。
敷金に関しては、物件の修繕費用、クリーニング代に充てられてしまうのであまり期待しない方が良いでしょう。敷金の扱いについては諸説ありますが、契約の時点でサインをしているのは親でしょうから、後から色々注文をつけても受け入れられないことの方が多いです。
もし敷金が返ってきた場合は、相続財産の一部になります。相続の手続きが完了するまでは勝手に使うことは出来ないので注意して下さい。
借家の原状回復はどこまでやればいいの?
賃貸住宅は、契約終了して退去するときに借り主が「原状回復」するように求められます。これをどこまでが原状回復とみなすのかというのは難しい話です。
大事なのは、契約書をよく確認しておくということ。
一般的に、普通に暮らしていて発生する傷や汚れなどは、入居者が元通りにする義務はありません。タンスの跡がついたとか、畳の日焼けなどがそれにあたります。ですから、普通は拭き掃除まで終わっていれば問題ないとう認識で大丈夫でしょう。
最悪のケースは・・・
しかし、荒れ放題でゴミ屋敷になっていたとか、孤独死、自殺してしまった場合は大変です。部屋の原状回復には臭いや汚れを落とすために「特殊清掃」が必要になってきます。壁が激しく傷んでいたり、床の奥まで汚れが染み込んでいたとなると、部屋全体のリフォームが必要になってくることも。
この場合、相続人(あなた)は、これらの費用を全額、あるいは一部を請求されることがあります。先に挙げたように、マイナスの相続財産となるからです。
さらに、部屋の処理だけでなく、貸主や同じ建物の住人、近隣へ迷惑をかけたことに対しての対応も必要になってきます。あまり考えたくないことですが、最悪のケースの場合はこうした手間がかかってくるということです。
そういった意味でも、日頃から定期的に親とコミューケーションを取りつつ良好な関係を保ち、生前から整理を少しずつ進めることが大切になってきます。