遺品整理と遺産相続ガイド

親の家の片付け方、不要品処分から遺産相続の手続きまで

残されたペットを守るために。遺産を相続することは出来る?

ペットを飼っている高齢者が病気になって亡くなってしまい、残されたペットが行き場を失うというのは決して珍しい話ではありません。

最も身近な引き取り手である子どもがマンションやアパート住まいだと容易に引き取ることも出来ず、というケースは多いです。

実際問題、犬の場合は小型犬(チワワやトイプードルなど)以外はまず引き取り手はないと考えた方が良いでしょう。都市部では住居の環境がマッチせず、地方では単純に引き取り手が少ないため、今はペットにとって非常に厳しい状況です。

親が犬や猫を飼っている場合、遺族が引き取れるならば問題ありませんが、そうではない場合は早めに対策を考えておく必要があります。

残されたペットの現実

長い間ペットと一緒に暮らしてきた親の想いを考えれば、処分するというのは抵抗があるかもしれません。しかし、現実は厳しく、残されたペットを遺族が保健所に持ち込むということもあります。

日本国内で、引取先が見つからずに殺処分される犬や猫の数は年間30万匹以上。この中には、飼い主が亡くなって行き場を失ったペットも当然含まれています。

そのため、動物愛護センターのような、捨てられた犬や猫を保護し、里親を探す活動をしている団体の中には、一定の年齢(55~60歳)以上の一人暮らしの方には、動物を譲り渡さないところもあるのです。

ペットの癒やし効果もあるけれど

しかし一方では、高齢者がペットを飼うと、リラックス効果によって血圧が下がったり、心臓病の進行を防いだりするといったプラスの面があると言われています。

ですから、無碍に飼うなと言うことも出来ません。

大切なのは、ペットが無駄な殺処分を受けないような環境を用意してあげることです。

ペットは法律上では「物」なので「相続財産」となる

「ペットに自分の遺産を相続したい。」

自分が亡くなった後のペットの行く末を案じる強い気持ちから、ペットに遺産を相続して幸せに暮らして欲しいと願うのは当然です。

しかし、残念ながら、ペットが飼い主の遺産を相続することは出来ません。

日本では動物は法律上「物」として扱われるので、ペットは相続人ではなく「相続財産」に含まれるので、相続人となる遺族が相続しなくてはなりません(アメリカではペットへの相続が認められている州もあります)。

法律を変えることは不可能ではありませんが、今すぐ簡単に変わるものではないので、「ペットに遺産を相続」とは別な方法を考える必要があります。

大切なのは、残されたペットの生活がこれまでと同じように保証されること。飢えで衰弱したり、虐待されることなく、楽しく快適に生きていくこと居ですよね?

ですから、ペットを飼っている人は、前もって世話をしてくれる人を見つけ、遺言書などでその人に遺産を残すことが、今出来る最良の方法です。