分割の合意内容は協議書に残す
遺言書がある場合、遺産は原則として遺言書通りに分割し、ない場合には遺産分割協議を開き、法定相続人の間で話し合って分割の割合を決定します。
協議で合意が得られたら、資産分割協議書を作成しておきましょう。
資産分割協議書は、不動産の相続登記や、預貯金、自動車の名義変更の際に必要となります。
遺産分割協議で合意を得られない場合
遺産分割協議を行っても全員の合意が得られなかった場合には、家庭裁判所での調停になり、調停でも合意が得られない場合には最終的に裁判で決定します。
遺言書の内容に納得出来ない場合
相続の際、一番はじめに遺言書を確認することになりますが、その内容に納得出来ない場合は、家庭裁判所に「遺留分の減殺請求」をすることが出来ます。
民法では、法定相続人が相続する財産について、一定の割合(遺留分)が保証されています。
たとえば、遺言書で「親身に介護してくれた息子の嫁に全てを譲る」と書いてあったとしても、法定相続人にあたる配偶者や子どもは、遺留分を取り戻すことが出来るのです。
遺留分の決まり方
遺留分は、総量が2分の1で、割り振りは法定相続人の組み合わせよって変わります。
仮に、法定相続人が配偶者のみの場合は、財産の2分の1、子どものみの場合も2分の1、配偶者と子どもの場合には、それぞれ4分の1ずつ、配偶者と父母の場合には妻が6分の2、父母が6分の1といった割合です。
ただし、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。
現金で相応分を分けたり、共有することも可能
実際に遺産を分割するには、大きく分けて次の4つの方法があります。
- ①現物分割
- ②換価分割
- ③代償分割
- ④共有分割
残された家族のそれぞれの状況によって、適切な分割方法は異なってくるでしょう。
①現物分割
土地や家屋、株式など、現物そのものを分ける方法。
たとえば広大な田畑や水田、山林などの土地を持っていたり、アパートを複数経営している場合などに使えます。
「土地と家屋は妻に、株式は長男に」というように、特定の財産を特定の相続人が相続するやり方です。
②換価分割
遺産の一部または全部を売却して相続人で分ける方法。
土地や建物が売れるようであれば選択可能です。
土地や建物を売却すると譲渡による所得税や住民税がかかってくるので注意が必要。
③代償分割
遺産の一部または全部を現物で、ひとり、もしくは複数人が取得し、その他の相続人に相続分の差額を現金で支払う方法。
例としては、長男が土地建物を相続し、兄弟らに現金で支払う形。地方の家屋敷を分割せずに残したい場合などに使えます。
④共有分割
遺産の一部、または全部を相続人全員が共同で所有する方法。
たとえば、親の農業を兄弟揃って手伝っている場合などに利用できます。
ただし、将来、不動産を売却するときには、共有者全員の合意が必要になります。