相続は、親(被相続人)が亡くなったと同時に始まります。
相続開始から相続税申告・納付までの流れは以下の通りです。
相続の流れ
遺言書の有無・種類を確認
まず一番最初にやるべきことは、遺言書の有無の確認です。
遺言書は、大きく分けると「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類あります。
このうち、公正証書遺言以外は、家庭裁判所で開封して中身を確認する「検認」という作業が必要になります。勝手に開封すると5万円以下の過料が課せらる上、変造したり破棄したりすると、相続の資格を失ってしまいます(相続欠格者)。絶対にやめましょう。
遺産分割協議
故人が残した遺言書があり、法定相続人がその内容に同意した場合、故人の意志を尊重して、遺言書の内容に従って財産の分割が行われます。
しかし、遺言書がない、あるいは遺言書があったとしても法定相続人がその内容に同意しない場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行い「遺産分割協議書」を作成します。
遺産分割協議は、法定相続人が全員集まって話し合なわなければいけないかというとそうではありません。必ずしも全員が一堂に会する必要はなく、相続人の誰かが協議書を持って回って同意を取り付けることも出来ます。
ここで作成した遺産分割協議書の内容にそって遺産が分割され、相続税申告・納付となります。
遺産分割協議で折り合いがつかず全員の同意を得られないない場合、家庭裁判所で裁判をすることになります。
相続放棄・限定相続という手もある
そもそも、「遺産を相続しない」という選択肢もあります。必ずしも遺産を相続しなくても良いということです。
これを相続放棄といい、最終的な決断をするタイミングは遺産分割協議の前になります。
相続のためには、財産の総額を把握しなければなりませんが、総額がわかった時点で、相続するか、放棄するかどうか決めておくと良いでしょう。
というのも、相続の手続きの中には、期限付きのものがあるからです。
参考:遺産相続のはじめの一歩。まずは「相続財産の総額」を知ることから始めましょう。
「単純承認」「相続放棄」「限定承認」
相続には、大きく分けて
- 単純承認
- 相続放棄
- 限定承認
の3つがあります。
単純承認は被相続人(故人)の財産の全てを引き継ぐ方法です。
一般的に、相続といえばこの単純承認のことを指し、この方法で相続するならばとくに面倒な手続きは必要ありません。
相続放棄は、借金などのマイナスの財産が多いなどの理由から、すべての相続を放棄することです。
相続放棄すると、被相続人が負っていた債務のすべてを放棄することができ、保証債務などの返済義務もなくなります。ただし、全てを放棄しなければならないのでよく考えて決めて下さい。
限定承認は、プラスとマイナス、どちらが多いかはっきりしない場合など、プラスの範囲内のみで相続したいときに使います。最近はこの方法をとる人は少ない傾向にあるようです。
申し立ては3ヶ月以内に
相続放棄と限定承認は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てをしなければなりません。
この期間を過ぎると単純承認とみなされて、プラスの財産もマイナスの財産も相続しなければならなくなります。
延長も可能
だたし、この申し立ては延長が可能です。
財産の総額を算出する段階であやふやなことも出てくるでしょう。3ヶ月以内に財産の全容が掴めそうになく、放棄すべきか限定承認にすべきか迷ってしまう状況であれば、家庭裁判所へ届出ましょう。